過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第15問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(組織論の基本対比)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(組織デザインの基礎)

問題文

T. バーンズと G. M. ストーカーは、外部環境の安定性の程度と組織内部の管理システムの関係性を検討し、「機械的管理システム」と「有機的管理システム」という2つの管理システムのモデルを提唱した。
これらのモデルの対比に関する記述として、最も適切なものはどれか。


機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも上司への服従が強調される。
機械的管理システムでは、有機的管理システムよりも水平的なコミュニケーションによる助言や相談がよくなされる。
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも個々のタスクは抽象的な性質を帯びている。
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりもその組織に特有な知識やスキルが重要視される。
有機的管理システムでは、機械的管理システムよりも役割に関する責任が詳細に定められる。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 機械的管理システムは安定環境に適合し、階層的で権限が明確。上司への服従や命令遵守が強調される。

イ:×
 水平的コミュニケーションは有機的管理システムの特徴。機械的管理システムでは縦の指揮命令系統が中心。

ウ:×
 有機的管理システムではタスクは柔軟で境界が曖昧になるが、「抽象的」というよりは状況適応的。記述は不正確。

エ:×
 有機的管理システムでは環境変化に対応するために多様な知識・スキルが重視されるが、「組織特有の知識やスキル」という表現は機械的管理システムの安定性に近い。

オ:×
 役割の責任を詳細に定めるのは機械的管理システム。有機的管理システムでは役割は柔軟に変化する。


学習のポイント

機械的管理システム
 安定環境に適合。階層的・権限明確・命令遵守・役割固定。

有機的管理システム
 不確実環境に適合。柔軟・水平的コミュニケーション・役割の流動性・知識共有。

試験対策のコツ
 「機械的=硬直・縦割り」「有機的=柔軟・水平連携」と対比で整理すると誤答を見抜きやすい。