難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(職務特性モデルの基本)
- 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度:★★★☆☆(モチベーション理論の基礎)
問題文
職務に対する従業員のモチベーションは、組織から与えられる報酬だけではなく、担当する職務の特性それ自体からも影響を受ける。
J. R. ハックマンと G. R. オルダムによって提唱された職務特性モデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
技能多様性、タスク完結性、タスク重要性の度合いが高いほど、従業員はその仕事に価値や意義を見出すようになる。
イ
職務特性モデルでは、従業員の心理状態が中核的な職務特性を介して従業員の仕事の成果に影響を及ぼすと考える。
ウ
成長欲求の程度が低い従業員は、その程度が高い従業員と比べて、自律性の高い仕事を与えられた場合に、仕事の結果への責任感をより強く感じる傾向がある。
エ
タスク完結性とは、仕事のスケジュールや手順を決めるにあたって、担当者が自己完結的にそれらを自由に決められる程度を指す。
オ
幅広い工程を一貫して担当することが求められるタスクは、細分化された1つの工程を担当するタスクよりもタスク重要性が高い。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
職務特性モデルでは「技能多様性」「タスク完結性」「タスク重要性」が高いほど、従業員は仕事に意義を感じやすくなる。これは「仕事の有意味感」を高める中核的職務特性。
イ:×
心理状態は「中核的職務特性 → 心理状態 → 成果」という因果関係で説明されるが、記述は逆転している。
ウ:×
成長欲求が低い従業員は、自律性が高い仕事を与えられても責任感を強く感じにくい。むしろ成長欲求が高い従業員ほど責任感を持つ。
エ:×
タスク完結性は「仕事が一貫して完了する度合い」を指す。スケジュールや手順の自由度は「自律性」の説明。
オ:×
幅広い工程を担当することは「タスク完結性」の高さを示す。タスク重要性は「その仕事が他者や組織に与える影響の大きさ」を意味する。
学習のポイント
・職務特性モデルの5要素
技能多様性・タスク完結性・タスク重要性・自律性・フィードバック。
・心理状態との対応
前3つは「仕事の有意味感」、自律性は「責任感」、フィードバックは「成果の認知」に結びつく。
・成長欲求の強さ
成長欲求が高い従業員ほど、職務特性の効果を強く受ける。
・試験対策のコツ
「タスク完結性」と「自律性」、「タスク重要性」と「タスク完結性」の混同に注意。