難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(学習サイクルの理解)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
- 重要度:★★★☆☆(組織学習理論の基礎)
問題文
J. G. マーチと J. P. オルセンが示した組織学習サイクル・モデルにおける不完全な学習サイクルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
「曖昧さのもとでの学習」とは、組織の行動がもたらした環境の変化を適切に解釈できず、個人の信念が修正されないことを指す。
イ
「傍観者的学習」とは、個人が、環境の変化について傍観しているかのように、自らの行動を変化させないことを指す。
ウ
「迷信的学習」とは、個人が自ら確信している迷信に従って、自身の行動を変化させ、さらに組織の行動の変化も導こうとすることを指す。
エ
「役割制約的学習」とは、環境の変化によって自らの信念が変化した個人がその行動を変化させるものの、そうした変化が自らの役割の範囲内のみにとどまっていることを指す。
オ
不完全な学習サイクルとは、「環境の変化→個人の行動→組織の行動→個人の信念」という連結サイクルのいずれかが切断されていることを指す。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
「曖昧さのもとでの学習」は、組織の行動が環境に与えた影響を正しく解釈できず、個人の信念が修正されない状態を指す。不完全な学習サイクルの典型例。
イ:×
「傍観者的学習」は、環境変化を観察しても自らの信念や行動を変えない状態を指す。記述は一部正しいが、最も適切ではない。
ウ:×
「迷信的学習」は、因果関係を誤って解釈し、誤った行動変化を導くこと。迷信に従うこと自体ではなく、誤った因果推論がポイント。
エ:×
「役割制約的学習」は、信念が変化しても役割の制約で行動が限定される状態。説明は部分的に正しいが、問われている趣旨に合致しない。
オ:×
不完全な学習サイクルは「環境変化→個人信念→個人行動→組織行動」の循環が途切れることを指す。記述の順序は誤り。
学習のポイント
・不完全な学習サイクルの種類
曖昧さのもとでの学習、傍観者的学習、迷信的学習、役割制約的学習の4つを整理して覚える。
・曖昧さのもとでの学習
環境変化を正しく解釈できず、信念が修正されない。典型的な不完全学習。
・傍観者的学習
環境変化を観察しても、自らの行動や信念を変えない。
・迷信的学習
因果関係を誤解し、誤った行動修正を行う。
・役割制約的学習
信念は変わっても、役割の制約で行動が限定される。
・試験対策のコツ
「不完全=循環が途切れる」ことを意識し、どの段階で切断されているかを見極める。