過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第25問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(労働者性の判断基準)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(労働法の基礎知識)

問題文

労働基準法上の労働者に関する記述として、最も適切なものはどれか。


インターンシップにおける学生は、当該学生が直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が受け入れ企業に帰属し、かつ、受け入れ企業との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。
株式会社の代表者は、事業主体との関係において使用従属関係が認められないため、その役員報酬が著しく低額の場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。
物品を配送する事業を営む事業主より委託を受けて自転車により物品配送に従事する者は、当該従事者に事業者性を肯定する要素がなく、かつ、当該事業主体との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。
労働基準法上の事業は、営利を目的として行われるものに限定されることから、社会事業団体や宗教団体が行う継続的活動に従事する者は、当該団体との関係において使用従属関係が認められる場合であっても、労働基準法上の労働者に該当しない。

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
インターンシップであっても、使用従属関係が認められれば労働者に該当する。記述は誤り。

イ:〇
株式会社の代表取締役は、会社の業務執行権限を持ち、使用従属関係に立たないため、労働基準法上の労働者には該当しない。報酬額の多寡は関係しない。

ウ:×
委託を受けた配送従事者であっても、事業者性がなく使用従属関係が認められれば労働者に該当する。記述は誤り。

エ:×
労働基準法上の「事業」は営利目的に限定されない。社会事業団体や宗教団体の活動でも、使用従属関係があれば労働者に該当する。


学習のポイント

労働者性の判断基準
使用従属性(指揮命令関係、労務提供の代替性の有無、報酬の労務対価性など)が中心。

インターンシップの扱い
実態として労務提供があり、企業に利益が帰属する場合は労働者と認定され得る。

代表取締役の位置づけ
会社の意思決定権限を持つため、労働者には該当しない。

非営利団体での労務
営利目的でなくても、使用従属関係があれば労働者性が認められる。

試験対策のコツ
「使用従属関係があるかどうか」が最重要ポイント。報酬額や営利・非営利の区別は直接的な判断基準ではない。