過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第33問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(広告・コミュニケーションの基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度: ★★★☆☆(現代広告の理解)

問題文

コミュニケーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。


広告炎上問題や動画投稿サイト上の広告問題など、インターネットの普及に伴う広告倫理の問題が指摘されるなか、「インターネット広告倫理綱領」が制定されたことによって、倫理的に問題のあるインターネット広告は大幅に減少している。
特定のブランドに興味をもつ消費者が集まるインターネット上のブランド・コミュニティはブランド・ページと呼ばれ、企業のサイト内にあるブランド・コミュニティと比べ、オープン・アクセスと閲覧者の幅広さという点は同じであるが、情報拡散という点で優れている。
日本においてインターネット広告費はプラス成長を続けており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下でも2020年のインターネット広告費は成長を維持した。
メディア・マルチタスキングのうち、テレビ、スマートフォン、タブレットなどの画面を複数使用することはマルチ・スクリーニングと呼ばれ、同時に複数のメディアに注意を向けることになるため、単一メディアに接するときよりも広告効果は低下する。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 倫理綱領は自主的な指針であり、強制力は限定的。炎上や誤認表現は依然発生しており、「大幅に減少」と断定するのは不適切。

イ:×
 消費者主導のコミュニティを一般に「ブランド・ページ」とは呼ばない。企業サイト内コミュニティと同じオープン性・到達範囲とする一般化も不正確。

ウ:〇
 日本のインターネット広告費は長期的に拡大趨勢で、2020年はコロナ影響下でもデジタル移行の加速で成長を維持した。設問の記述は適切。

エ:×
 マルチ・スクリーニングは注意分散を招き得るが、広告効果は一律に低下するとは限らない。文脈やクリエイティブ設計により効果が維持・向上する例もある。


学習のポイント

  • 倫理綱領の限界
    自主規制は重要だが、実効性は環境・監視体制に依存し、問題広告の根絶には至らない。
  • ブランド・コミュニティの用語と性質
    企業主導と消費者主導で用語・構造が異なる。拡散性・参加動機の違いを正しく理解する。
  • インターネット広告費の動向
    景気や外部ショックの影響を受けつつも、デジタル移行で総額は拡大傾向。2020年もネットは堅調。
  • マルチ・スクリーニングへの対応
    注意分散を前提に、短尺・視認性・反復接触などで想起を高める設計が有効。