難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(パッケージ戦略の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(ブランド要素・グローバル対応)
問題文
パッケージに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
アフォーダンスのルールをうまく取り入れたパッケージ・デザインは、製品利用における消費者の利便性を高めることはできないが、地球環境に配慮する行動を自然に促すことはできる。
イ
グローバル市場での製品導入を目指す企業では、パッケージに特定の国で隠語的な意味を持ってしまう言語や記号、表現を避け、地理的境界や文化を超えて利用できる移転可能性が高いブランド要素を使用すべきである。
ウ
市場で最大の経営資源とシェアをもつリーダー企業が現在の競争地位を維持するために、チャレンジャーやフォロワーといった競合他社のパッケージと類似のデザインを採用することはない。
エ
パッケージのデザイン開発の現場では、従来型のアンケート調査に加え、アイトラッキングや AI 分析を用いた精度の高い調査データが得られるようになっているため、パッケージのリニューアルなどの意思決定において、マーケターの判断は不要になっている。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
アフォーダンスは「使い方を自然に示し、利便性を高める」設計思想。利便性を高められないという断定は誤りで、環境配慮行動の促進も設計次第であり一般化できない。
イ:〇
グローバル導入では、国や文化で意味が変わる言語・記号・色・表現のリスクを避け、文化横断的に伝わる移転可能性の高いブランド要素(ネーミング、ロゴ、形状、カラーパレット等)を用いるのが適切。
ウ:×
リーダー企業が類似デザインを「採用しない」と断定するのは不適切。カテゴリー規範や識別性の確保のために近似要素を維持する場合もあり、戦略は状況依存。
エ:×
高度な調査データは意思決定を支援するが、解釈・戦略整合・クリエイティブ判断は不可欠。マーケターの判断が「不要」にはならない。
学習のポイント
- パッケージのアフォーダンス
「持ち手」「開け口」「注ぎ口」など、形状や記号で使い方を直感的に示し、誤操作や負担を減らすことでUXを向上させる。 - グローバル対応のブランド要素
言語依存度を下げ、誤解・タブー・負の連想を避ける。形状・色彩・ピクトグラムなど、文化横断的に理解される要素を優先する。 - 競争地位とパッケージ戦略
カテゴリ規範の踏襲とブランド識別の両立が鍵。差別化のための独自性と、購買時の想起・探索容易性をバランスさせる。 - 調査手法と意思決定
アイトラッキングやAI分析は「気づき」を与える。最終判断はブランド戦略・収益性・実装制約を踏まえた総合評価で下す。