過去問解説(経済学・経済政策)_2023年(R5年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(乗数効果と図解理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(図形と式の対応)
  • 重要度: ★★★☆☆(マクロの基本構造)

問題文

下図は、45度線図である。この図において、総需要は AD = C + I(ただし、AD は総需要、C は消費支出、I は投資支出)、消費関数は C = C₀ + cY(ただし、C₀ は基礎消費、c は限界消費性向(0 < c < 1)、Y は GDP)によって表されるとする。

この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

投資支出が増えると、AD 線の傾きは急になる。
投資支出が LM だけ増加するとき、投資支出乗数の大きさは LM / KM である。
投資支出が LM だけ増加するとき、GDP は Y₀ から Y₁ に増え、消費支出は LK だけ増加する。
AD 線の傾きが緩やかになると、投資支出乗数は小さくなる。

〔解答群〕

a:正  b:正  c:正  d:誤
a:正  b:誤  c:誤  d:誤
a:誤  b:正  c:誤  d:正
a:誤  b:誤  c:正  d:正
a:誤  b:誤  c:正  d:誤

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: エ(a:×/b:×/c:〇/d:〇)

解説

a:×
 投資支出が増えるとAD線は「平行に上方シフト」するだけで、傾き(限界消費性向c)は変わらない。
 傾きが急になるのは限界消費性向cが増えたとき。

b:×
 投資支出乗数は「GDPの増加幅 ÷ 投資支出の増加幅」で求める。
 図ではGDPの増加幅がKM、投資支出の増加幅がLMなので、乗数は「KM ÷ LM」であり、LM ÷ KMではない。

c:〇
 投資支出がLMだけ増加すると、AD線が上方にシフトし、GDPはY₀→Y₁へ増加。
 消費支出は限界消費性向cに応じて増加し、図ではLKの長さがその増加分を示している。

d:〇
 AD線の傾きは限界消費性向cに比例する。
 傾きが緩やか(cが小さい)ほど、乗数(1 ÷ (1−c))は小さくなる。


学習のポイント

  • AD線の構造: AD = C₀ + cY + I → 傾きはc、切片はC₀ + I
  • 乗数の定義: 乗数 = 1 ÷ (1−c)
  • 図の読み方:
    ・AD線のシフト=投資支出の変化
    ・GDPの変化=乗数効果
    ・消費支出の変化=限界消費性向 × GDP増加分