過去問解説(経済学・経済政策)_2023年(R5年) 第19問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(独占の規制価格:AC価格・MC価格)
  • 正答率: ★★★☆☆(図の領域対応)
  • 重要度: ★★★☆☆(自然独占・料金設計)

問題文

下図は、ある地域で独占的な地位にある電力会社の平均費用AC、限界費用MC、限界収入MRおよび同地域での電力の需要曲線Dを示している。この図から読み取れる記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

平均費用価格形成原理の下で、この企業の総収入と総費用はともに四角形P2OQ2Gで示される。
平均費用価格形成原理の下で、生産者余剰は四角形P1P2GFで示される。
限界費用価格形成原理の下で、消費者余剰は三角形EP1Fで示される。
限界費用価格形成原理の下で、この企業には四角形P3P4IHに相当する損失が生じる。

〔解答群〕

a:正  b:正  c:正  d:誤
a:正  b:誤  c:誤  d:正
a:誤  b:正  c:正  d:誤
a:誤  b:正  c:誤  d:誤
a:誤  b:誤  c:誤  d:正

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: イ(a:〇/b:×/c:×/d:〇)

解説

a:〇
 平均費用価格形成原理(AC価格=P2)では、価格P2で生産量Q2を供給。総収入は長方形P2OQ2G(P2×Q2)、総費用も平均費用×数量=AC(Q2)×Q2=P2×Q2で同じ長方形となり、利潤はゼロになる。

b:×
 AC価格では利潤ゼロのため、生産者余剰(利潤)は生じない。四角形P1P2GFのような領域を生産者余剰とみなすのは誤り。

c:×
 限界費用価格形成原理(MC価格=P3)では価格がP1ではなくP3に設定される。消費者余剰は需要曲線と価格P3で区切られる大きい領域となり、三角形EP1Fには一致しない。

d:〇
 MC価格ではP3<AC(Q)となるため、平均費用を回収できず赤字が生じる。損失は(AC−P3)×供給量に相当し、図では四角形P3P4IHで示される。


学習のポイント

  • AC価格の狙い: 自然独占で平均費用価格に設定すると、収入=費用となり利潤ゼロで参入阻止と消費者保護を両立。
  • MC価格の問題: 効率的だが赤字が発生するため、補助金や二部料金(基本料金+従量料金)で損失補填が必要。
  • 領域の読み方: 総収入=価格×数量の長方形、損失=(AC−価格)×数量の長方形、消費者余剰=需要曲線下−支払額。