過去問解説(経済学・経済政策)_2023年(R5年) 第20問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(労働市場の独占構造)
  • 正答率: ★★★☆☆(図形と余剰の理解)
  • 重要度: ★★★☆☆(最低賃金と効率性)

問題文

企業城下町のように働く場が限られているケースは、下図のような、買い手独占の労働市場モデルによって考察できる。D は労働需要曲線、S は労働供給曲線、MC は労働の限界費用曲線である。S が右上がりであることは、企業にとって、たくさんの労働者を雇用するためには高い賃金率の支払いが必要であることを意味する。この高い賃金率は、追加的に増える労働者だけではなく、すでに雇用している労働者にも適用される。したがって、買い手独占の労働市場の MC は、S よりも上方に位置する。

この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

この独占企業は、W₁ の賃金率で労働者を雇用する。
労働者の余剰は、三角形 AW₂F である。
労働市場が完全競争である場合と比べて、三角形 EFG だけの余剰が失われている。
最低賃金率が W₀ に設定されると、労働投入量は増加する。

〔解答群〕

a:正 b:正 c:正 d:正
a:正 b:正 c:正 d:誤
a:正 b:正 c:誤 d:正
a:正 b:誤 c:正 d:正
a:誤 b:正 c:正 d:正

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: エ(a:〇/b:×/c:〇/d:〇)

解説

a:〇
 買い手独占(モノプソニー)では、限界費用MCと労働需要Dの交点で労働量を決定し、その労働量に対応する供給曲線S上の賃金率で雇用する。図ではW₁がその賃金率。

b:×
 労働者の余剰は、実際の賃金W₁と供給曲線Sの下の面積であり、三角形AW₂Fは完全競争時の余剰を示す。W₁での余剰はそれより小さく、AW₂Fは誤り。

c:〇
 完全競争ではDとSの交点で決まる賃金と労働量により、余剰が最大化される。モノプソニーでは労働量が少なく、三角形EFGの分だけ余剰が失われる。

d:〇
 最低賃金W₀が設定されると、企業は限界費用が下がるため、雇用量が増加する可能性がある。図でもW₀設定により労働投入量が増えることが示唆されている。


学習のポイント

  • モノプソニーの特徴: 労働供給曲線が右上がり → 限界費用曲線が供給曲線より上 → 労働量が抑制される。
  • 最低賃金の効果: 適切な水準であれば、雇用量が増加し、労働者余剰も改善される。
  • 余剰の比較: 完全競争 vs モノプソニーでの労働者余剰・社会的余剰の違いを図で把握。