難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(貿易自由化と余剰分析)
- 正答率: ★★★☆☆(領域の対応)
- 重要度: ★★★☆☆(輸出による価格上昇ケース)
問題文
閉鎖経済の下で国内でのみ生産販売されていた製品が、貿易の自由化により外国に輸出された場合の効果について考える。下図は、国際価格が Pf で与えられる、ある工業製品に対する国内の需要曲線 D と供給曲線 S を示している。当初、閉鎖経済の下で国内の需要量と供給量が点 E で均衡し、国内価格は P0、取引量は Q0 であったが、国際価格 Pf の輸出財市場に参入したことで、供給量は Q2 に増加することになった。
この図から読み取れる記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a
貿易自由化によって、国内の消費量は Q0 から Q1 に減少する。
b
貿易自由化による消費者余剰の減少分は、⑵である。
c
貿易自由化による生産者余剰の増加分は、⑴、⑵、⑶、⑷の合計である。
d
貿易自由化による社会的総余剰の増加分は、⑶である。
〔解答群〕
ア
a:正 b:正 c:正 d:誤
イ
a:正 b:正 c:誤 d:誤
ウ
a:正 b:誤 c:誤 d:正
エ
a:誤 b:正 c:正 d:誤
オ
a:誤 b:誤 c:誤 d:正
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 正解: ウ(a:〇/b:×/c:×/d:〇)
解説
- a:〇
輸出参入で国内価格が P0 → Pf に上昇するため、国内消費量は Q0 から Q1 に減少する(需要曲線上の左シフト)。 - b:×
消費者余剰の減少は、価格上昇に伴う失われた長方形部分と三角形部分の合計で表されるのが一般形。⑵のみでは不足(⑵に加え、隣接する領域の一部も含む)。 - c:×
生産者余剰の増加は、価格上昇で供給者が得る長方形+三角形の領域の合計だが、⑴~⑷すべてではない。⑷には社会的余剰の純増分(死荷重の回復・貿易利得)と重複のない部分があり、全加算は過大。 - d:〇
社会的総余剰の増加分は、価格差による純利得の「三角形」領域で表される。図の⑶がその純増(国内需要の縮小で失われる分と生産者余剰増のネットを差し引いた結果)に相当する。
学習のポイント
- 輸出で国内価格が上がる場合: 国内消費者余剰は減少、生産者余剰は増加、社会的総余剰は取引拡大の純利得分だけ増加。
- 余剰の分解: 消費者余剰の減少=長方形+三角形の合計、生産者余剰の増加=長方形+三角形の合計、社会的総余剰の純増=三角形(無差別の再配分分は除外)。