過去問解説(財務・会計)_2023年(令和5年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(収益認識基準の理解が必要)
  • 正答率: ★★☆☆☆(契約資産・契約負債の処理に慣れていないと誤りやすい)
  • 重要度: ★★★★☆(新収益認識基準の典型問題)

問題文

以下の一連の取引の仕訳として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

8/12 当社は、得意先との間で、25,000円の商品Bと35,000円の商品Cを
   販売する契約を締結した。合計の代金60,000円は、商品Bと商品Cの両
   方を引き渡した後に請求することになっている。また、商品Bと商品C
   の引き渡しは、それぞれ独立した履行義務である。商品Bについては、
   契約を締結した後、直ちに得意先に引き渡した。

8/25 商品Cを得意先に引き渡した。当社は、商品Bと商品Cの代金に対す
   る請求書を送付する予定である。

〔解答群〕

ア 8/12 (借)契約資産 25,000 (貸)売上 25,000
  8/25 (借)売掛金  60,000 (貸)契約資産 25,000
                  (貸)売上 35,000

イ 8/12 (借)契約資産 25,000 (貸)契約負債 25,000
  8/25 (借)売掛金  60,000 (貸)売上 60,000
        契約負債 25,000    契約資産 25,000

ウ 8/12 (借)契約資産 60,000 (貸)売上 60,000
  8/25 (借)売掛金  60,000 (貸)契約資産 60,000

エ 8/12 (借)契約資産 60,000 (貸)売上 25,000
                  (貸)契約負債 35,000
  8/25 (借)売掛金  60,000 (貸)契約資産 60,000
        契約負債 35,000    売上 35,000

出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:


解説

  1. 8/12 商品Bの引渡し
  • 商品Bは独立した履行義務。
  • ただし、代金請求は商品B・C両方の引渡し後。
  • よって、この時点では「契約資産」を計上し、売上を認識する。
  • 仕訳:
    (借)契約資産 25,000 / (貸)売上 25,000
  1. 8/25 商品Cの引渡し
  • 商品Cの引渡しにより履行義務が充足。
  • この時点で請求権が確定するため、契約資産を売掛金に振り替える。
  • さらに商品C分の売上を認識する。
  • 仕訳:
    (借)売掛金 60,000 / (貸)契約資産 25,000
                  (貸)売上 35,000

学習のポイント

・収益認識基準では「履行義務の充足」に応じて収益を認識する
・請求権が確定する前に履行義務を果たした場合は「契約資産」を計上する
・契約資産は、履行義務を果たしたが請求権がまだ確定していない場合に使う
・契約負債は、先に対価を受け取ったが履行義務を果たしていない場合に使う
・本問は「契約資産 → 売掛金」への振替処理がポイント
・収益認識基準の典型的な仕訳パターンを押さえておくことが重要