難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(財務レバレッジとMM理論の理解が必要)
- 正答率: ★★☆☆☆(計算と理論の両方を押さえる必要あり)
- 重要度: ★★★★☆(資本構成論の典型問題)
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
現在、Y社は総資本10億円(時価ベース)の全額を自己資本で調達して事業活動を行っており、総資本営業利益率は10%である。また、ここでの営業利益は税引前当期純利益に等しく、また同時に税引前キャッシュフローにも等しいものとする。Y社は今後の事業活動において、負債による調達と自己株式の買い入れによって総資本額を変えずに負債と自己資本との割合(資本構成)を1:1に変化させることを検討しており、その影響について議論している。
(設問1)
税金が存在しない場合、Y社が資本構成を変化させたとき、ROEの値として、最も適切なものはどれか。ただし、負債利子率は3%であり、資本構成の変化によって総資本営業利益率は変化しないものとする。
ア
13%
イ
13.5%
ウ
17%
エ
17.5%
(設問2)
モジリアーニ・ミラー理論において法人税のみが存在する場合、Y社が資本構成を変化させることで、企業全体の価値に対する影響として、最も適切なものはどれか。ただし、法人税率は20%とする。
ア
企業価値が1億円減少する。
イ
企業価値が1億円増加する。
ウ
企業価値が4億円減少する。
エ
企業価値が4億円増加する。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)
解答
- 設問1:ウ(17%)
- 設問2:イ(企業価値が1億円増加する)
解説
設問1(ROEの算定)
- 総資本=10億円、総資本営業利益率=10% → 営業利益=1億円
- 資本構成を1:1に変更 → 負債5億円、自己資本5億円
- 負債利子率3% → 利息=5億円×3%=0.15億円
- 税金なし → 当期純利益=1億円−0.15億円=0.85億円
- 自己資本=5億円 → ROE=0.85億円÷5億円=17%
→ 正解は「ウ」
設問2(MM理論・法人税あり)
- MM理論(法人税あり)では、負債を利用することで「節税効果(タックスシールド)」が発生し、企業価値が増加する。
- 節税効果=負債額×法人税率=5億円×20%=1億円
→ 企業価値は1億円増加する。
→ 正解は「イ」
学習のポイント
・ROEは財務レバレッジを導入することで上昇する(ただしリスクも増加)
・MM理論(税金なし):資本構成は企業価値に影響を与えない
・MM理論(法人税あり):負債利用による節税効果で企業価値が増加する
・タックスシールド=負債×法人税率
・資本構成論は「ROE」「WACC」「企業価値」の関係を整理して理解することが重要