難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(投資評価と資本コストの関係を理解する必要あり)
- 正答率: ★★☆☆☆(WACCと事業部別資本コストの混同に注意)
- 重要度: ★★★★☆(投資評価の典型論点)
問題文
以下の、リスクの異なるH事業部とL事業部を持つ多角化企業に関する資料に基づいて、H事業部に属する投資案(H案)とL事業部に属する投資案(L案)の投資評価を行ったとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、この多角化企業は借り入れを行っていない。
【資料】
| H案の内部収益率(IRR) | 10% |
| L案の内部収益率(IRR) | 7% |
| リスクフリー・レート | 2% |
| H事業部の資本コスト | 11% |
| L事業部の資本コスト | 5% |
| 全社的加重平均資本コスト(WACC) | 8% |
〔解答群〕
ア
H案、L案ともに棄却される。
イ
H案、L案ともに採択される。
ウ
H案は棄却され、L案は採択される。
エ
H案は採択され、L案は棄却される。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)
解答
正解:ウ(H案は棄却され、L案は採択される)
解説
- 投資評価の基本原則
- 投資案は「IRR(内部収益率)>資本コスト」であれば採択される。
- 逆に「IRR<資本コスト」であれば棄却される。
- 多角化企業の場合、全社的WACCではなく、事業部ごとのリスクに応じた資本コストを用いるのが適切。
- H案の評価
- IRR=10%
- H事業部の資本コスト=11%
- IRR<資本コスト → 採算性なし → 棄却
- L案の評価
- IRR=7%
- L事業部の資本コスト=5%
- IRR>資本コスト → 採算性あり → 採択
- WACCとの関係
- 全社的WACC(8%)を用いると誤った結論になる可能性がある。
- 本問は「事業部ごとの資本コストを用いる」点がポイント。
学習のポイント
・投資評価は「IRRと資本コストの比較」で判断する
・多角化企業では、全社的WACCではなく事業部ごとの資本コストを使うのが正しい
・H案はIRR<資本コスト → 棄却
・L案はIRR>資本コスト → 採択
・WACCを使うと誤答に誘導されるため注意