難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
- 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)
問題文
会社法が定める社債に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはないものとする。
ア
株式会社における社債の募集事項の決定は、公開会社である場合には、株主総会の決議事項であるが、公開会社ではない会社の場合は、取締役会の決議事項である。
イ
社債権者が社債権者集会の目的である事項を提案した場合において、当該提案につき議決権者の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなされる。
ウ
社債は、株式会社および合同会社においては発行することができるが、合名会社は発行することはできない。
エ
社債を発行する場合、会社は、必ず、当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:✕
社債の募集事項の決定は、原則として取締役会設置会社では取締役会の決議事項であり、公開会社か否かで株主総会決議事項になるわけではない。
イ:〇
社債権者集会において、議決権者全員が書面または電磁的記録により同意した場合には、実際に集会を開かなくても、その提案が可決されたものとみなされる制度がある。これは社債権者の意思決定を迅速化するための仕組みである。
ウ:✕
社債は株式会社のみが発行可能であり、合同会社や合名会社は発行できない。
エ:✕
社債発行時に必ず社債券を発行する必要はなく、社債券不発行の定めを置くことも可能である。
学習のポイント
- 社債の募集事項決定は、取締役会設置会社では取締役会決議が原則。
- 社債権者集会の全員同意制度は、迅速な意思決定を可能にする重要な仕組み。
- 社債券は必ずしも発行する必要はなく、社債券不発行会社の制度も存在する。