過去問解説(経営法務)_2024年(R6年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)

問題文

独占禁止法が定める課徴金および課徴金減免制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問においては、調査協力減算制度における協力度合いに応じた減算率は考慮しないものとする。

違反行為者が中小企業の場合において、中小企業が当該違反行為について主導的役割を果たしていないときは、大企業に対する課徴金算定率から、資本金の割合に応じた減額が認められる。
課徴金減免制度における申請は、電子メールによる方法に限られる。
公正取引委員会による調査開始後に単独で課徴金減免申請を行い、その申請順位が1位の場合、申請順位に応じた課徴金減免率は100%(全額免除)である。
再販売価格の拘束行為が、課徴金の対象行為となることはない。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)

解答

正解:イ


解説

ア:✕
 課徴金算定率は違反行為の内容に応じて定められるものであり、資本金の割合による減額制度は存在しない。中小企業であることを理由とした減額は認められていない。

イ:〇
 課徴金減免制度の申請方法は電子メールに限られず、所定の様式に基づき、公正取引委員会への提出が求められる。申請手段は限定されていないという記述は正しい。

ウ:✕
 調査開始後の申請順位が1位であっても、課徴金の減免率は100%にはならない。調査開始前の申請順位1位のみが全額免除対象となる。調査開始後の申請は減免対象だが、免除率は低下する。

エ:✕
 再販売価格の拘束(リセール・プライス・メンテナンス)は、独占禁止法上の違反行為であり、課徴金の対象となる。対象外とする記述は誤り。


学習のポイント

  • 課徴金減免制度は、違反企業が自主的に申告することで課徴金が軽減または免除される制度。
  • 申請順位に応じて減免率が異なり、調査開始前の1位のみが原則100%免除。
  • 申請方法は電子メールに限られず、所定様式による提出が必要。
  • 再販売価格の拘束は課徴金対象行為であり、誤解しないよう注意が必要。