難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結)
問題文
以下の会話は、食品会社の社長である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲氏:「わが社の研究開発室では、日々、お客様にお喜びいただけるソースなどの開発を行っています。
このたび、新製品として画期的なパスタソースを開発しました。辛みと甘みが相まって、とろけるようなクリーミーな味です。特許出願しようと思うのですが、特許出願すると、パスタソースの製法が公になってしまうのですか。」
あなた:「はい。特許出願すると、原則として、特許出願の日からAを経過したときは出願公開されてしまいます。」
甲氏:「では、特許出願をせずに秘密のままとする場合、その秘密を保護する法律はありますか。」
あなた:「営業秘密を保護する法律として、不正競争防止法があります。この法律では、営業秘密を『秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、Bをいう』と規定しています。
詳しいことをお知りになりたいときは、ご専門の先生をご紹介します。」
〔解答群〕
ア A:1年6カ月 B:公然と知られていないもの
イ A:1年6カ月 B:容易に考えつくことができないもの
ウ A:2年6カ月 B:公然と知られていないもの
エ A:2年6カ月 B:容易に考えつくことができないもの
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
特許出願は、原則として出願日から1年6カ月経過後に出願公開される。また、不正競争防止法における営業秘密の要件の一つは「公然と知られていないこと」である。
イ:✕
営業秘密の要件は「公然と知られていないこと」であり、「容易に考えつくことができないもの」という表現は特許の進歩性要件に関するものである。
ウ:✕
出願公開は1年6カ月後であり、2年6カ月ではない。
エ:✕
A・Bともに誤り。出願公開期間は1年6カ月であり、営業秘密の要件は「公然と知られていないこと」である。
学習のポイント
- 特許出願は、原則として出願日から1年6カ月後に出願公開される(早期公開制度もあり)。
- 営業秘密の3要件は「秘密管理性」「有用性」「非公知性(公然と知られていないこと)」。
- 「容易に考えつくことができないもの」は特許の進歩性要件であり、営業秘密の要件ではない。
- 特許出願と営業秘密の選択は、技術の性質や事業戦略によって判断する必要がある。