過去問解説(経営法務)_2024年(R6年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)

問題文

商標法に関する記述として、最も適切なものはどれか。

商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、その効力の発生に登録は不要である。
商標権について通常使用権が許諾された後、その商標権が第三者に譲渡された場合において、通常使用権者が商標権の譲受人に対して通常使用権を対抗するためには、通常使用権の登録が必要である。
商標権の通常使用権の移転については、登録が効力発生要件とされている。
当事者間の契約により商標権を譲渡する場合、商標権の移転の効力は当事者の合意によって生じるが、その移転の効力を第三者に対抗するためには、登録が必要である。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 専用使用権は排他的な使用権であり、設定の効力発生には登録が必要である。登録不要とする本肢は誤り。

イ:〇
 通常使用権は、商標権者の許諾により発生するが、商標権が第三者に譲渡された場合、登録がなければ譲受人に対抗できない。対抗要件として登録が必要である点が正しい。

ウ:✕
 通常使用権の移転自体について、登録は効力発生要件ではない。もっとも、第三者に対抗するためには登録が求められる場面があるが、「効力発生要件」とする本肢は行き過ぎ。

エ:✕
 商標権の譲渡は登録をしてはじめて効力が生じる。合意のみで効力が生じ、登録は第三者対抗要件にすぎないとする本肢は誤り。


学習のポイント

  • 専用使用権は「設定=登録」で効力発生。通常使用権は許諾で発生するが、第三者対抗には登録が必要となる場面がある。
  • 通常使用権は移転の可否・要件(譲渡性や商標権者の承諾)と「登録=対抗要件」の区別を整理する。
  • 商標権の譲渡は登録が効力発生要件。合意のみでは効力が生じない点に注意。