難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)
問題文
消費者契約法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
事業者の軽過失に起因する債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する消費者契約の条項は、消費者契約法上、有効である。
イ
事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権につき、当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、消費者契約法により無効となる。
ウ
事業者の重過失に起因する債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する消費者契約の条項は、消費者契約法上、有効である。
エ
消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める消費者契約の条項は、その全体が消費者契約法により無効となる。
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:✕
消費者契約法では、事業者の軽過失による債務不履行について損害賠償責任の全部を免除する条項は無効とされる。よって有効とする本肢は誤り。
イ:〇
消費者の解除権の有無を事業者が一方的に決定できるとする条項は、消費者の権利行使を不当に制限するものであり、消費者契約法により無効となる。
ウ:✕
重過失による損害賠償責任の一部免除も、消費者契約法で無効とされる。軽過失だけでなく、重過失についても免除は制限される。
エ:✕
損害賠償額の予定や違約金の定めは、過大である部分のみが無効となる。全体が当然に無効となるわけではない。
学習のポイント
- 消費者契約法は、事業者と消費者の情報・交渉力格差を是正するため、一定の条項を無効とする規定を置いている。
- 損害賠償責任の免除条項は、軽過失・重過失いずれも制限される。
- 消費者の解除権を事業者が一方的に制限・決定する条項は無効。
- 損害賠償額の予定・違約金条項は「過大な部分のみ」無効となる点を押さえる。