難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(誤答肢の吟味が必要)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。製品設計と組織設計の連動理解に直結)
問題文
製品アーキテクチャーとは、製品を構成する個々の部品や要素の間のつなぎ方や製品としてのまとめ方である。製品アーキテクチャーに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
インテグラル型のアーキテクチャーを持つ製品は、標準化が進んでいる。
イ
擦り合わせによって創造される価値が差別化要因になる製品については、モジュラー型のアーキテクチャーを持つことが多い。
ウ
部品間の相互依存性が高いインテグラル型のアーキテクチャーを持つ製品の場合、部門横断的に調整することが不可欠になる。
エ
モジュラー型のアーキテクチャーを持つ製品では、部品調達業者は、部品のコスト低減ではなく、部品の差別化をしなければならない。
出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:✕
インテグラル型は部品間の相互依存性が高く、設計の擦り合わせが必要で標準化は進みにくい。標準化が進むのは一般にモジュラー型である。
イ:✕
擦り合わせの価値が差別化要因になるのはインテグラル型の特徴であり、モジュラー型はインターフェース標準により部品の独立性が高い。
ウ:〇
相互依存性が高いインテグラル型では、機械・電気・ソフトなど複数機能の同時最適化が必要で、部門横断の調整(コンカレント設計・共同開発)が不可欠となる。
エ:✕
モジュラー型ではインターフェースが標準化され、部品調達業者はコスト・性能・納期などで競争しやすい。差別化「のみ」を必須とするわけではない。
学習のポイント
- モジュラー型はインターフェース標準化により部品独立性が高く、外部調達・コスト競争・組み合わせ最適化が進む。インテグラル型は擦り合わせで性能を極大化する。
- インテグラル型は部門横断の強い調整(同時設計、試作の反復、共同レビュー)が必要で、組織・プロセスの設計が成果を左右する。
- アーキテクチャーの違いは、サプライチェーン戦略(内製 vs 調達)、標準化方針、プラットフォーム戦略、イノベーションの焦点(全体最適 vs 局所最適)に直結する。