難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(マズローとERG理論の比較理解が必要)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的)
- 重要度:★★★☆☆(動機づけ理論の基礎。試験頻出テーマ)
問題文
A. マズローの欲求段階説と、その修正を試みた C. アルダファーの ERG 理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
ERG 理論では、例えばある人との関係において関係欲求が満たされない場合、人間はその人との関係において関係欲求を満たすことを追求し続けると考える。
イ
ERG 理論では、例えば成長欲求が満たされない場合、欲求段階説の想定とは異なり、より具体的で確実性の高い目標を志向する関係欲求を満たそうとするようになる可能性を想定する。
ウ
ERG 理論における関係欲求の内容は、欲求段階説における生理的欲求の一部と安全欲求、および所属と愛の欲求の一部に対応する。
エ
欲求段階説では、人間の持つ欲求を生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、自己実現欲求の4つのカテゴリーに分類するのに対して、ERG 理論では、生存欲求、関係欲求、成長欲求という3つのカテゴリーに分類する。
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:✕
ERG理論では「欲求退行仮説」があり、満たされない欲求は下位の欲求に退行する可能性がある。関係欲求が満たされない場合に同じ関係欲求を追求し続けるとは限らない。
イ:〇
成長欲求が満たされない場合、より確実性の高い関係欲求に退行する可能性を想定する点が、マズローの欲求段階説との大きな違いである。
ウ:✕
関係欲求は「所属と愛の欲求」「承認欲求の一部」に対応する。生理的欲求や安全欲求には対応しない。
エ:✕
マズローは5段階(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求)であり、4つではない。ERG理論は3分類(Existence=生存、Relatedness=関係、Growth=成長)。
学習のポイント
- マズローの欲求段階説
生理的欲求 → 安全欲求 → 社会的欲求 → 承認欲求 → 自己実現欲求の5段階。下位が満たされると上位へ進むとされる。 - アルダファーのERG理論
欲求を「生存(Existence)」「関係(Relatedness)」「成長(Growth)」の3つに再整理。複数欲求が同時に存在し得る。 - 欲求退行仮説
上位欲求が満たされない場合、下位欲求に退行する可能性を認める点がマズローとの大きな違い。