過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第25問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(派遣法の基本)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(労働者派遣の実務基礎)

問題文

労働者派遣に関する記述として、最も適切なものはどれか。


紹介予定派遣は、労働者派遣法において禁止されている。
派遣先の都合で労働者派遣契約を解除することになり、そのために派遣元事業主が当該派遣労働者に休業手当を支払うこととなった場合であっても、派遣先は当該休業手当のための費用を負担する必要はない。
派遣先は、派遣元事業主に無期雇用されている派遣労働者を、3年の派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受けた事業主が、当該派遣労働者を、警備業務が労働者派遣事業の禁止業務であると知りながら当該業務に従事させた場合、当該派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなされる。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 紹介予定派遣は労働者派遣法で認められている制度。一定の手続・期間上の要件のもとで適法に実施可能。

イ:✕
 派遣先の都合による中途解除で派遣元が休業手当等の費用負担をした場合、派遣先は相応の費用負担(損害の填補)を求められる。費用負担不要とするのは不適切。

ウ:✕
 派遣可能期間の「3年」制限は原則として個人ではなく「事業所単位・組織単位」に適用され、無期雇用派遣労働者は期間制限の対象外。3年超受け入れ不可という記述は誤り。

エ:〇
 警備業務は派遣の禁止業務。禁止業務に従事させる違法受入れは「労働契約申込みみなし制度」の対象となり、派遣先が当該労働者に対し労働契約の申込みをしたものとみなされる。


学習のポイント

  • 紹介予定派遣の位置付け
    適法な派遣形態。最長期間や事前面接等の要件に留意。
  • 中途解除時の費用負担
    派遣先の都合による解除は、派遣元・労働者に生じた損害の補填が原則。
  • 期間制限の考え方
    無期雇用派遣は期間制限の対象外。事業所・組織単位の受入期間管理が重要。
  • 申込みみなし制度の適用場面
    禁止業務(警備等)や期間制限抵触、無許可派遣などの違法受入れ時に適用。