過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第26問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(制度趣旨の理解が中心)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(育児休業制度の基本)

問題文

育児・介護休業法に規定する育児休業に関する記述として、最も適切なものはどれか。


事業主は、繁忙期で代替人員を確保できない場合であっても、育児休業を取得する権利がある労働者からの育児休業取得申出を拒むことはできない。
出生時育児休業は、養育する子の出生後8週間に男性労働者が取得することを目的とする制度であるため、養子縁組をした場合であっても、女性労働者は出生時育児休業の対象にならない。
使用者は、就業規則に定めがない場合であっても、育児休業期間中の労働者に対して平均賃金の6割を育児休業手当として支払わなければならない。
労働者が育児休業を取得するためには、労使協定で育児休業をすることができないものとして定める場合を除き、育児休業を取得する時点で雇用期間が1年以上必要である。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 育児休業は法定の取得権であり、要件を満たす労働者の申出を事業主が繁忙等の事由で拒否することはできない。

イ:✕
 出生時育児休業(産後パパ育休)は制度趣旨から父親の取得が想定されるが、法令上は性別で対象外とするものではない。養子縁組のケースでも女性が対象外と断定する記述は不適切。

ウ:✕
 育児休業期間中の所得補償は原則として雇用保険の育児休業給付金(公的給付)であり、使用者が「平均賃金の6割」を手当として支払義務を負う制度ではない。

エ:✕
 現在、育児休業の取得に一律の「雇用期間1年以上」要件はない。労使協定により一定の労働者(例:入社1年未満など)を対象外とする除外規定を設けることはできるが、原則として取得は可能。


学習のポイント

  • 取得権の原則
    法定の育児休業は、事業主の業務都合で拒否できない。
  • 給付の仕組み
    所得補償は公的な育児休業給付金が中心で、会社の支払義務ではない。
  • 対象範囲と要件
    一律の勤続年数要件はなく、除外は労使協定による限定的な設定にとどまる。