過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第27問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(労働基準法・就業規則の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(人事労務の必須論点)

問題文

就業規則に関する記述として、最も適切なものはどれか。


使用者は、就業規則において1日の労働時間について「8時間勤務とする」と定めた場合であっても、その事業場における具体的な始業及び終業の時刻並びに休憩時間について規定しなければならない。
使用者は、新規に会社を設立し初めて就業規則を定めることになった場合は、その内容に関して、全労働者の過半数の同意を得なければならない。
使用者は、同一事業場において一部の労働者にのみ適用される「パートタイム就業規則」を変更する際には、当該事業場に労働組合がない場合には、全労働者の過半数を代表する者の意見を聴く必要はない。
使用者は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、当該変更が諸事情を考慮して合理的なものであると判断されたとしても、労働者と合意しなければ、就業規則の変更によって労働条件を不利益に変更することは一切できない。

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
就業規則には労働時間に関する絶対的必要記載事項として、始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇などを具体的に定める必要がある。「8時間勤務」とだけ規定するのでは不十分。

イ:×
就業規則の作成・変更は「過半数代表者の意見聴取」が要件であり、同意までは必要ない(意見書の添付が必要)。会社設立時でも同様。

ウ:×
一部労働者に適用される就業規則の変更でも、事業場の過半数代表者の意見聴取が必要。対象が限定されても手続を省略できない。

エ:×
周知と合理性を満たす就業規則の不利益変更は、判例上、個別合意がなくても有効となり得る。常に合意がなければ不利益変更不可とするのは誤り。


学習のポイント

  • 就業規則の必須記載
    ・始業・終業、休憩、休日、休暇、賃金、退職等の具体的記載が必要。
  • 意見聴取の手続
    ・過半数代表者(または労組)の「意見聴取・意見書添付」が要件で、同意までは不要。
    ・対象が一部労働者でも手続を省略できない。
  • 不利益変更の有効性
    ・周知+内容の合理性で有効となる余地あり(個別合意が絶対条件ではない)。
  • 試験対策のコツ
    ・「同意」ではなく「意見聴取」、という語の違いに注意。
    ・「具体的時刻・休憩の明示」が必要で、抽象的な労働時間規定は不十分。
    ・不利益変更は「周知+合理性」で判断、常に不可とする肢は誤り。