過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第29問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(ソーシャル・マーケティングの理解が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
  • 重要度:★★★☆☆(社会的マーケティングの基礎)

問題文

ソサイエタル・マーケティングなどソーシャル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。


企業が文化支援を行うメセナや慈善行為を行うフィランソロピーの活動は、企業による社会貢献活動であるから、ソシオエコロジカル・マーケティングの一部と理解することができる。
ソサイエタル・マーケティングの根底には、企業が行う社会貢献は当該企業の利益につながってはならないという考え方がある。
貧困問題を解決するといった社会課題においては、貧困者に自立を促すなどのコミュニケーション活動だけでなく、そもそも貧困が生まれる社会そのものを改革するといった構造的な問題解決も必要である。しかしこのような構造的な問題解決は、ソサイエタル・マーケティングが扱う分野ではない。
マーケティングの4Pの1つである「製品(プロダクト)」とは、顧客にベネフィットをもたらす何らかの製品・サービスであるが、ソサイエタル・マーケティングにおける製品・サービスには、例えば「投票に行こう」というような、社会に向けた提案も含まれる。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 メセナやフィランソロピーは企業の社会貢献活動だが、マーケティング概念としての「ソシオエコロジカル・マーケティング」とは区別される。

イ:✕
 ソサイエタル・マーケティングは「企業利益と社会的利益の両立」を目指す考え方であり、「利益につながってはならない」という発想ではない。

ウ:✕
 ソサイエタル・マーケティングは社会課題の構造的解決も対象とし得る。社会全体の福祉や持続可能性を重視するため、構造的な問題解決を扱わないとするのは誤り。

エ:〇
 ソサイエタル・マーケティングにおける「製品(プロダクト)」には、物理的製品やサービスだけでなく、社会的行動や提案(例:「投票に行こう」「禁煙しよう」など)も含まれる。


学習のポイント

  • ソサイエタル・マーケティングの特徴
    企業利益・顧客満足・社会的福祉の三者を同時に追求する。
  • 製品概念の拡張
    社会的行動や提案も「製品」として扱う。例:環境保護キャンペーン、健康促進活動。
  • CSRやフィランソロピーとの違い
    単なる社会貢献活動ではなく、マーケティングの枠組みで社会課題解決を図る点が特徴。