難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(価格戦略の基本)
- 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度:★★★☆☆(主要価格戦略の理解)
問題文
価格設定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
価格バンドリングでは、バンドリングされる2つの商品間におけるカニバリゼーションを避けるため、商品間の品質や価格などの差を十分に大きくしておく必要がある。
イ
キャプティブ・プライシングは、例えばプリンターとインクカートリッジのような組み合わせにおいて、プリンターの価格を安くして購入を促し、インクカートリッジで利益を確保していこうとする価格戦略である。
ウ
ダイナミック・プライシングは、宿泊や航空のサービスなどの需給に大きな変化が生じやすいカテゴリーでは適応されるが、自動販売機や小売店頭で販売されるような需給の変化が小さいカテゴリーでは適応されない。
エ
フリーミアムは、スマートフォンなどの高価格商品においては当該ブランドを選択する吸引力になりうるが、ファストフードのコーヒーなどの低価格商品においては当該店舗に来店する吸引力になりにくい。
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
価格バンドリングは複数商品をセット価格で販売して価値認知を高める手法であり、商品間の差を「十分に大きくすること」は必須条件ではない。むしろ補完性や利用場面の一体性が重要で、差が小さくても有効に機能する。
イ:〇
キャプティブ・プライシングは本体を低価格で普及させ、補充品・消耗品で収益を確保する戦略(例:プリンターとインク、シェーバーと替刃)。収益構造を前提に価格設計する典型的手法である。
ウ:×
ダイナミック・プライシングは需給やコンテキストに応じて価格を可変にする考え方で、宿泊・航空に限らず自販機・小売でも技術導入により適用可能。需給変動が小さいカテゴリーでも時間帯・在庫・イベント要因で最適化余地は存在する。
エ:×
フリーミアムはデジタルで普及したが、低価格カテゴリーでも試飲・無料サイズ・おまけ等は来店誘因として有効。低価格商品で吸引力になりにくいと断定するのは不適切である。
学習のポイント
・バンドリングの要点
補完性・セット価値の強調、混合バンドリングによる消費者余剰の獲得
・キャプティブ戦略の設計
本体の普及価格と消耗品の利益率設計、ロックインの管理(互換性・代替の扱い)
・ダイナミック価格の適用範囲
需要・在庫・時間帯・イベントに応じたリアルタイム最適化は小売・自販機でも可能
・フリーミアム/無料施策の役割
試用によるリスク低減、来店・体験のハードルを下げてCVを促進