過去問解説(経済学・経済政策)_2024年(R6年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(マンデル=フレミング・モデルの応用)
  • 正答率: ★★★☆☆(応用知識)
  • 重要度: ★★★☆☆(国際マクロ経済の基礎)

問題文

下図によって、完全資本移動かつ小国のマンデル=フレミング・モデルを考える。政府支出拡大の効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

この国が為替レートを維持しようとするならば、政府支出の拡大は、為替レート維持のための自国通貨の売り介入に伴う貨幣供給の増加と相まって、自国のGDPを増加させることができる。
この国が為替レートを維持しようとするならば、政府支出を拡大させても、為替レート維持のための自国通貨の買い介入に伴う貨幣供給の減少と相まって、自国のGDPを減少させてしまう。
この国が為替レートの変動を市場に任せるとき、政府支出を拡大させても、その効果は資本流入の増加による自国通貨高によって完全なクラウディング・アウトが生じ、自国のGDPは増加しない。
この国が為替レートの変動を市場に任せるとき、政府支出の拡大は、為替レートを減価させ、自国のGDPを増加させる。

〔解答群〕

aとc
aとd
bとc
bとd

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: ア(aとc)

解説

  • a:〇
    固定為替レート制下では、政府支出拡大による需要増加は資本流入を招き、通貨高圧力が生じる。為替レート維持のため中央銀行は自国通貨を売り介入し、貨幣供給を増加させる。この結果、財政政策は有効となりGDPは増加する。
  • b:×
    固定為替レート制下で政府支出拡大は通貨高圧力を生むが、介入は「自国通貨売り」であり、貨幣供給は増加する。記述の「買い介入による貨幣供給減少」は誤り。
  • c:〇
    変動為替レート制下では、政府支出拡大は資本流入を招き通貨高となる。これにより輸出が減少し、財政拡張効果は完全に打ち消される(クラウディング・アウト)。GDPは増加しない。
  • d:×
    政府支出拡大は資本流入を通じて通貨高をもたらすため、為替レートは減価せず、GDPも増加しない。記述は誤り。

学習のポイント

  • マンデル=フレミング・モデル:
    開放経済におけるIS-LM分析。資本移動の自由度と為替制度によって政策効果が異なる。
  • 固定為替レート制: 財政政策は有効(通貨売り介入→貨幣供給増加)。金融政策は無効。
  • 変動為替レート制: 財政政策は無効(資本流入→通貨高→輸出減少)。金融政策は有効。
  • まとめ: 政策効果は為替制度に依存するため、設問の正解は「aとc」。