難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(短期の完全競争・費用曲線)
- 正答率: ★★★☆☆(図の読解と概念整理)
- 重要度: ★★★☆☆(生産者余剰・損益判定)
問題文
短期の完全競争市場下における価格と企業の生産との関係を考える。下図には、ある財の生産に関する限界費用曲線MC、平均費用曲線ACおよび平均可変費用曲線AVCが描かれており、価格が与えられると企業は最適生産を実現するものとする。
ただし、P1はACの最小値、P3はAVCの最小値に対応している。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)
価格がP0のときの生産者余剰として、最も適切なものはどれか。
ア
四角形 ABED
イ
四角形 AOQ0D
ウ
四角形 BOQ0E
エ
四角形 P0ADC
オ
四角形 P0BEC
(設問2)
この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a
価格がP1のとき、企業の総収入は可変費用と固定費用の合計に等しくなる。
b
価格がP2のとき、企業の損失は固定費用の一部のみとなる。
c
価格がP3のとき、企業の損失は可変費用のみとなる。
〔解答群〕
ア
a:正 b:正 c:正
イ
a:正 b:正 c:誤
ウ
a:正 b:誤 c:誤
エ
a:誤 b:正 c:正
オ
a:誤 b:誤 c:誤
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 設問1:オ(四角形 P0BEC)
- 設問2:イ(a:正/b:正/c:誤)
解説(設問1)
- 生産者余剰の範囲:
価格線P0と限界費用MCの上方の面積(供給曲線=MCの上にある稼働区間)で、0からQ0までの部分。固定費用や平均費用の線は生産者余剰の定義には含まれないため、図示ではP0とMCに囲まれる領域が該当する(P0BEC)。
解説(設問2)
- a:正
P1はACの最小点の価格。価格=平均費用最小点での生産では、総収入(価格×量)は総費用(可変費用+固定費用)に等しく、利潤はゼロ。 - b:正
P2はAC最小より上でAVC最小よりも十分高い価格を想定。この価格では生産を継続しつつ損失が生じる場合、損失は総費用−総収入であり、固定費用の一部が回収できず残るイメージの記述として妥当(可変費用は価格で概ね賄える前提)。 - c:誤
P3はAVCの最小点(操業停止点)。この価格では生産しても可変費用しかちょうど賄える程度で、損失は固定費用全額。可変費用のみが損失という記述は誤り。
学習のポイント
- 操業停止条件: 価格<AVC最小なら操業停止。価格=P3(AVC最小)では損失=固定費用。
- 利潤ゼロ点: 価格=AC最小(P1)では利潤ゼロ(総収入=総費用)。
- 生産者余剰: 価格線とMCの上方面積(供給曲線上の面積)。平均費用や可変費用とは区別する。