過去問解説(経済学・経済政策)_2024年(R6年) 第17問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(独占市場の図解理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(図形と概念の対応)
  • 重要度: ★★★☆☆(消費者余剰・生産者余剰・死荷重)

問題文

下図は、ある財の生産販売を1社が完全に独占した市場を示している。この財の需要曲線がDであり、MCが生産者の限界費用、MRが同じく限界収入である。ここで、独占企業は利潤を最大化するように、価格と生産量を決定するものとする。

この図に基づき、独占均衡に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

企業は価格をCとすることで利潤を最大化できる。
消費者余剰は、三角形ABFである。
生産者余剰は、四角形CEHGである。
このとき生じる死荷重は、三角形FGIである。

〔解答群〕

a:正  b:正  c:誤  d:正
a:正  b:誤  c:正  d:正
a:正  b:誤  c:正  d:誤
a:誤  b:正  c:正  d:正
a:誤  b:正  c:誤  d:誤

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解: オ(a:誤/b:正/c:誤/d:誤)

解説

  • a:×
    独占企業の利潤最大化は「MR=MC」の交点で生産量QMを決定し、そのときの価格PMは需要曲線上の点B。価格Cは完全競争均衡の価格であり、独占価格ではない。
  • b:〇
    独占企業の価格PMにおける消費者余剰は、需要曲線と価格PMの間にある三角形ABF。完全競争よりも小さくなるが、図形としては正しい。
  • c:×
    独占企業の生産者余剰は、価格PMと限界費用MCの間の面積で、図では四角形BEHF。選択肢のCEHGは価格Cに基づく完全競争時の余剰であり誤り。
  • d:×
    独占による死荷重(社会的損失)は、完全競争時に取引されていたが独占によって失われた余剰部分。図では三角形FHIが該当し、選択肢のFGIは誤り。

学習のポイント

  • 独占企業の利潤最大化行動:
    ・独占企業は「限界収入=限界費用(MR=MC)」となる生産量QMを選択。
    ・価格PMは、QMに対応する需要曲線上の価格。
    ・完全競争の生産量Q*よりもQMは小さく、価格PMは高くなる。
  • 限界収入曲線の特徴:
    ・需要曲線が直線の場合、限界収入曲線は同じ切片で傾きが2倍の直線。
    ・MRは常に需要曲線の下に位置する。
  • 余剰の比較:
    消費者余剰(独占): 三角形ABF(価格PMより上の需要曲線下部)
    生産者余剰(独占): 四角形BEHF(価格PMとMCの間)
    死荷重: 三角形FHI(完全競争で得られたはずの余剰が失われた部分)
  • 社会的総余剰:
    ・完全競争では消費者余剰+生産者余剰が最大。
    ・独占では生産量が抑制されるため、社会的総余剰が減少し、死荷重が発生する。