過去問解説(財務・会計)_2024年(令和6年) 第11問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(指標の定義と影響の基本)
  • 正答率: ★★★☆☆(勘定の分類とCF区分を押さえる)
  • 重要度: ★★★☆☆(資金調達と投資の同時発生の影響)

問題文

当期末に、新たに長期借入(借入後60カ月にわたって元利均等弁済)を行い、その資金全額で無形固定資産を購入したとする。他の条件を一定とするとき、この取引による財務諸表および財務指標への影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。

1年内返済予定長期借入金が増えるので、流動比率は低下する。
借入と投資が相殺されるので、投資活動によるキャッシュ・フローおよび財務活動によるキャッシュ・フローには影響しない。
固定資産が増加するため、固定比率は改善する。
自己資本には影響しないため、自己資本比率は変化しない。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:


解説

ア:〇
長期借入の実行により「1年内返済予定長期借入金」(長期借入金の流動化部分)が発生し、流動負債が増加する。他方、取得する無形固定資産は固定資産であり流動資産は増えないため、流動比率(流動資産/流動負債)は低下する。

イ:×
借入の実行は「財務活動によるキャッシュ・フロー」のプラス、無形固定資産の取得は「投資活動によるキャッシュ・フロー」のマイナスとして、それぞれ表示される。相殺はされず、両方の区分に影響が出る。

ウ:×
固定比率=固定資産/自己資本。固定資産が増え、自己資本は変化しないため分子が増加して固定比率は上昇(悪化)する。「改善」は誤り。

エ:×
自己資本比率=自己資本/総資本。自己資本は不変だが、借入による資金調達と固定資産取得で総資本(総資産)が増加するため、自己資本比率は低下する。「変化しない」は誤り。


学習のポイント

  • 流動化の影響:
    長期借入を行うと、翌期以降返済予定分が流動負債として計上され、流動比率を押し下げる。
  • CF区分の基本:
    借入=財務CF(+)、固定資産取得=投資CF(−)。同時発生でも区分ごとに表示。
  • 指標の方向性:
    固定比率は固定資産増で上昇、自己資本比率は総資産増・自己資本不変で低下。