難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(企業価値評価のアプローチ理解)
- 正答率: ★★★☆☆(アプローチ分類の知識が必要)
- 重要度: ★★★☆☆(企業価値評価の基本論点)
問題文
次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
乗数法(マルチプル法)は、主力事業が類似している上場企業の乗数として、PER(株価収益率)や企業価値EBITDA倍率などを用いて企業や事業の価値を算定する手法であり、 A に分類される。乗数法は、B に分類されるDCF法(割引キャッシュフロー法)による評価をチェックしたり、簡便的に評価額を求める目的で用いられる。
企業価値EBITDA倍率は、企業や事業の価値評価でよく用いられる乗数である。企業価値EBITDA倍率の分子の企業価値は、有利子負債総額と株式時価総額の合計から現金・預金を差し引いて計算されることが多い。また、分母のEBITDAは利払前・税引前・償却前の利益であり、簡便的には C に減価償却費を加えて計算されるので、資本構成の影響を受けない。乗数法に分類される類似会社比較法では、対象企業と類似した複数の上場企業の企業価値EBITDA倍率を算出し、その平均倍率に対象企業のEBITDAを掛けて、対象企業の評価額を算定する。
〔解答群〕
ア
A:コストアプローチ B:インカムアプローチ C:経常利益
イ
A:コストアプローチ B:マーケットアプローチ C:営業利益
ウ
A:マーケットアプローチ B:インカムアプローチ C:営業利益
エ
A:マーケットアプローチ B:コストアプローチ C:経常利益
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
コストアプローチは「純資産法」など、資産の簿価や再調達原価を基準に評価する手法。乗数法はこれに該当しない。
イ:×
乗数法は「マーケットアプローチ」に分類されるが、DCF法は「インカムアプローチ」である。ここが逆になっている。
ウ:〇
- 乗数法(マルチプル法)は、市場で形成された株価や倍率を基準にするため「マーケットアプローチ」に分類される。
- DCF法は将来キャッシュフローを割引くため「インカムアプローチ」に分類される。
- EBITDAは営業利益に減価償却費を加えて算定する。
→ よって正しい組み合わせは「ウ」。
エ:×
DCF法を「コストアプローチ」とするのは誤り。
学習のポイント
- 企業価値評価の3つのアプローチ
– コストアプローチ:純資産法など、資産価値を基準に評価
– マーケットアプローチ:市場価格や倍率を基準に評価(例:乗数法)
– インカムアプローチ:将来キャッシュフローを割引して評価(例:DCF法) - EBITDAの算定
– 営業利益 + 減価償却費
– 資本構成の影響を受けにくく、企業の収益力を比較しやすい指標 - まとめ
– 乗数法=マーケットアプローチ
– DCF法=インカムアプローチ
– EBITDA=営業利益+減価償却費