過去問解説(財務・会計)_2024年(令和6年) 第23問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(企業価値評価のアプローチ理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(アプローチ分類の知識が必要)
  • 重要度: ★★★☆☆(企業価値評価の基本論点)

問題文

次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

乗数法(マルチプル法)は、主力事業が類似している上場企業の乗数として、PER(株価収益率)や企業価値EBITDA倍率などを用いて企業や事業の価値を算定する手法であり、 に分類される。乗数法は、 に分類されるDCF法(割引キャッシュフロー法)による評価をチェックしたり、簡便的に評価額を求める目的で用いられる。

企業価値EBITDA倍率は、企業や事業の価値評価でよく用いられる乗数である。企業価値EBITDA倍率の分子の企業価値は、有利子負債総額と株式時価総額の合計から現金・預金を差し引いて計算されることが多い。また、分母のEBITDAは利払前・税引前・償却前の利益であり、簡便的には に減価償却費を加えて計算されるので、資本構成の影響を受けない。乗数法に分類される類似会社比較法では、対象企業と類似した複数の上場企業の企業価値EBITDA倍率を算出し、その平均倍率に対象企業のEBITDAを掛けて、対象企業の評価額を算定する。

〔解答群〕

A:コストアプローチ  B:インカムアプローチ  C:経常利益
A:コストアプローチ  B:マーケットアプローチ C:営業利益
A:マーケットアプローチ B:インカムアプローチ  C:営業利益
A:マーケットアプローチ B:コストアプローチ   C:経常利益

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:


解説

ア:×
コストアプローチは「純資産法」など、資産の簿価や再調達原価を基準に評価する手法。乗数法はこれに該当しない。

イ:×
乗数法は「マーケットアプローチ」に分類されるが、DCF法は「インカムアプローチ」である。ここが逆になっている。

ウ:〇

  • 乗数法(マルチプル法)は、市場で形成された株価や倍率を基準にするため「マーケットアプローチ」に分類される。
  • DCF法は将来キャッシュフローを割引くため「インカムアプローチ」に分類される。
  • EBITDAは営業利益に減価償却費を加えて算定する。
    → よって正しい組み合わせは「ウ」。

エ:×
DCF法を「コストアプローチ」とするのは誤り。


学習のポイント

  • 企業価値評価の3つのアプローチ
    – コストアプローチ:純資産法など、資産価値を基準に評価
    – マーケットアプローチ:市場価格や倍率を基準に評価(例:乗数法)
    – インカムアプローチ:将来キャッシュフローを割引して評価(例:DCF法)
  • EBITDAの算定
    – 営業利益 + 減価償却費
    – 資本構成の影響を受けにくく、企業の収益力を比較しやすい指標
  • まとめ
    – 乗数法=マーケットアプローチ
    – DCF法=インカムアプローチ
    – EBITDA=営業利益+減価償却費