【財務・会計】2年連続不合格からの脱出。損益分岐点分析(CVP)を「金型費」と「加工費」で設計する

1次試験

「財務・会計、数式には抵抗がないはずなのに、なぜか本番で点数が伸びない……」

広島で設計開発エンジニアをしている管理人のヒロカズです。実を言うと、私はこの「財務・会計」で2年連続不合格を経験しています。

理系として「数字」や「数式」には強い自負がありました。しかし、今振り返ると、私は公式という名のブラックボックスに数字を放り込んでいただけだったのです。

「損益分岐点分析は、$$S – V – F = 0$$ だから……」

と機械的に解いているうちは、少し問題の設定がひねられるだけで、途端に「どの数字をどこに入れればいいんだ?」とパニックに陥っていました。

今回は、私がリベンジに向けて実践している、**「CVP分析をシステムの収支構造として捉え直す」**というアプローチについてまとめます。


1. そもそも、損益分岐点(CVP)分析とは何か?

まずは基本の整理です。CVPとは「Cost(費用)」「Volume(販売数量)」「Profit(利益)」の頭文字を取ったもの。一言で言えば、**「いくら売れば、赤字を脱出して利益がゼロ(トントン)になるか?」**を分析する手法です。

基本の計算式

$$売上高 – 変動費 – 固定費 = 利益$$

これをさらに分解すると、以下のようになります。

  • 売上高(S): 単価 × 数量
  • 変動費(V): 売上に比例して増えるコスト(原材料費、加工費など)
  • 固定費(F): 売上に関わらず発生するコスト(人件費、家賃、金型代など)

損益分岐点とは、この「利益」がちょうど 0 になるポイントを指します。


2. 財務の公式を「設計現場」の言葉に翻訳する

「固定費」「変動費」という言葉が教科書的でピンとこないなら、いっそ我々エンジニアが日々向き合っているコストに置き換えてしまいましょう。

具体例①:金型費(固定費)と加工・材料費(変動費)

これが最も直感的な理解です。

  • 固定費: 新製品のために起こした「金型代」。1個も作らなくても、プロジェクトを動かす以上、最初にドカンと発生する確定コスト。
  • 変動費: 1個流すたびにかかる「樹脂材料代」や「二次加工費」。
  • 限界利益: 「売価 - 変動費」。1個売るたびに、金型代をいくら回収(償却)できるかという**「回収力」**。

具体例②:評価試験のセットアップ費(固定費)と試験回数(変動費)

  • 固定費: 外部試験機関の「設備レンタル料」や「専用治具の製作費」。
  • 変動費: 試験1回ごとに消費する「試作サンプル」や「計測用ガス代」。

3. 【例題】金型代を何個売れば回収できるか?

具体的に、例題で考えてみましょう。公式を思い出すのではなく、**「設計の収支を計算する」**つもりで解いてみてください。

【例題】

あなたは新しい筐体部品を設計しました。

  • 売価: 10,000円
  • 変動費(材料・加工費): 6,000円 / 個
  • 固定費(金型製作費): 4,000,000円

問: この製品、赤字を出さないためには最低何個販売する必要がありますか?

設計者の思考プロセス

  1. 「1個売ったら、金型代をいくら返せるか?」を出す10,000円で売って、その都度6,000円の材料代が消えるので、残るのは4,000円です。これが1個あたりの「金型代回収力」です。
  2. 「金型代を、1個あたりの回収力で割る」$$4,000,000円(金型代) \div 4,000円(回収力) = 1,000個$$
  3. 結論1,000個売った瞬間に、ようやく金型代がゼロになります。1,001個目からが、会社の本当の利益(ボーナスタイム)です。

4. 1次試験の「計算」から、2次試験の「設計」へ

なぜ、この構造的な理解が不可欠なのか。それは、中小企業診断士試験の山場である**2次試験(事例IV)**にあります。

2次試験では、単に損益分岐点を計算させるだけでなく、経営者としてのアドバイスが求められます。

  • 「変動費率を下げて、損益分岐点を下げる(安全性を高める)べきか?」
  • 「あえて自動化設備(固定費)を導入し、損益構造をどう作り変えるべきか?」

これは、もはや計算問題ではなく**「経営というシステムの設計変更」**です。

1次試験のように「公式に代入して終わり」では、こうした「構造の組み換え」に対応できません。2年連続で落ちた私が気づいたのは、「何が固定費で、何が変動費か」という仕様(問題文)を正確に読み解くデバッグ能力こそが、合格への最短ルートだということです。


最後に:財務は「暗記」ではなく「納得」だ

財務・会計を「暗記科目」だと思っているうちは、私のように本番のプレッシャーで公式が飛んでしまうかもしれません。

しかし、「この製品(システム)は、どんなコスト構造で、どこまで負荷をかけたら赤字になるのか」という設計思想として捉え直したとき、数字はただの記号ではなく、意味を持ったデータに変わります。

私と同じように「納得感がないと覚えられない」という方は、ぜひ一度、自分の担当製品や身近なプロジェクトの「金型代と材料費」に置き換えてCVPを眺めてみてください。きっと、景色が変わるはずです。

今後も同様に、私の経験談を踏まえ、解説記事を投稿していきます。

他の記事にも訪れてもらえると嬉しく思います。

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